シーシャのスパイス系フレーバー:ダブルアップル・パン・チャイ
最終更新 2026.08.22 ・ KEMURI NOTE 編集部
この記事は書き直し中です。
スパイス系は「上級者向け」の棚に置かれがちな系統です。ただ、実際にカタログを覗くと事情が少し違います。シーシャでもっともよく知られたフレーバーのひとつであるダブルアップルが、味の成り立ちとしてはこの系統だからです。主役はアニスというスパイスの香りで、つまり多くの人はスパイス系を知らないうちに通過しています。
KEMURI NOTE には現在、スパイス系のフレーバーが65ブランド・244フレーバー登録されています。この記事ではまずスパイスが「温かく」感じられる仕組みを押さえたうえで、アニス・パン・チャイという3つの系譜に分けて整理します。
スパイスの「温かさ」は、温度ではない
この系統が他と決定的に違うのは、香りだけでなく口の中の感覚まで動かすところです。シナモンのじんわりした温かさ、ジンジャーのピリッとした刺激。国内の解説を見ても、シナモンには温かさ、ジンジャーには辛みや刺激という説明が、媒体をまたいで重なります。
これは煙が熱いから、ではありません。舌や喉には熱さや痛みを受け取るセンサーがあって、シナモン・クローブ・ジンジャーの香り成分は、そのセンサーを直接開けてしまいます。わさびや唐辛子が辛いのと、同じ仕組みです。
ミント系の記事で、冷たさは温度ではなくセンサーの錯覚だと書きました。スパイスはちょうどその裏返しです。冷たさ側のつまみがメントールなら、温かさ側のつまみがシナモンやクローブ。どちらも実際の温度とは関係なく、感覚だけを動かしています。冷たさ側の話はミント系の記事にまとめています。
シナモン・クローブ・ジンジャーは同じ側
シナモン(カシア)の精油は、報告によって幅はあるものの、大半をシンナムアルデヒドという成分が占めます。クローブはオイゲノール、ジンジャーはジンゲロール。この3つは揃って同じセンサーを開けることが実験で確かめられていて、いずれも人に焼けるような刺激を起こすと報告されています。
だから「香りは甘いのに、吸うと温かい」が同時に起きます。香りの甘さと口の中の刺激は、別々の道で来ているからです。スパイス系が上級者向けに見えるのも、味が複雑だからというより、動く場所が1つ多いからだと考えると分かりやすくなります。
カルダモンだけ、向きが逆
ところが、チャイのスパイスとして並ぶカルダモンだけは事情が違います。カルダモンの精油は1,8-シネオールとα-テルピニルアセテートの2つで大半を占め、産地によってどちらが多いかが入れ替わります。このうち1,8-シネオールは、メントールと同じ冷たさ側のセンサーを開けることが分かっていて(効きはメントールより弱い)、さらに温かさ側のセンサーを抑える働きまで報告されています。
つまりカルダモンは、スパイスの棚に置かれながら成分の向きが逆です。少量だけ足して香りの芯をつくる使い方が紹介されるのと、辻褄は合います。
ただし、これは素材そのものの性質までの話です。シーシャのフレーバーは香料の調合で、フレーバーごとの中身はメーカーが公開していません。「カルダモンならすっきりする」と決め打ちはできない、というところは押さえておいてください。
アニスが「甘い香り」として通る理由
ではダブルアップルの主役であるアニスはどうか。アニスの香り成分アネトールも、実はシナモンたちと同じセンサーを開ける仲間です。ただし決定的に違うのは、刺激がはっきり弱いこと。アネトールは刺激の弱い成分として扱われていて、唐辛子やマスタード油の成分と比べたときに目への刺激が弱いことが実験で示されています。
だからアニスは、スパイスでありながらピリッとする前に甘い香りとして通ります。ダブルアップルがシーシャの入口になれているのは、この弱さのおかげとも言えます。「スパイス系は苦手」と思っている人が、知らないうちに毎回頼んでいる — その理由がここです。
逆に言うと、「スパイス系が苦手」の中身は香りが苦手なのか、口の中の刺激が苦手なのかで分かれます。分けて伝えられると、出てくる一台が変わります。
① アニス — 入口はダブルアップル
メニューでいちばんよく見る「ダブルアップル」は、りんごの味ではありません。主役はアニス(ハーブ・スパイスの一種)の香りで、カタログでもスパイス系に分類されているフレーバーが多くあります。Al Fakher / ツーアップルをはじめ、多くのブランドが自社版を出している、古くからある型です。
ダブルアップルそのものの成り立ちとブランドごとの違いはダブルアップルとはに詳しくまとめています。
② パン(Paan)— 南アジアの嗜好品の再現
メニューで見かける「パン」「パンラズナ」は、インドや南アジアで親しまれてきた嗜好品パン(Paan)を再現したフレーバーです。パン屋のパンとは関係ありません。キンマの葉にビンロウジ、アニス・クローブ・コリアンダーなどのスパイス、砂糖、ココナッツパウダーを包んだものです。フレーバー名の綴りは Pan Rasna / Pan Razna / Pan Raas と分かれていて、指しているものはおおむね同じです。
香りの方向は、お香や白檀を思わせるエキゾチックな系統。フルーツでもお菓子でもない、シーシャならではの味として名前が挙がります。代表格として紹介されるのがAL-WAHA / パンラズナで、お香のような独特の香りと、ほどよい甘さがあると評されます。
この「お香っぽさ」の隣にいるのが白檀です。木の側から同じ方向の香りを見るとフローラル系とウッド系の記事になります。
③ チャイ — カルダモン・シナモン・ジンジャー
3つ目は、チャイを構成するスパイスの系統です。カルダモン、シナモン、ジンジャー、クローブといった単品のフレーバーがあり、これらはお茶系と組み合わせるためにあると言ってもいい存在です。アールグレイにカルダモンとシナモンを重ねてチャイ風にする、という組み立てはレシピ集でも繰り返し出てきます。
なかでもAl Fakher / カルダモンは複数の媒体が名前を挙げる定番です。スパイス感がはっきり出るタイプで、単体で完結させるより MIXに少量足して香りの芯をつくる使い方が向くと紹介されます。ただし甘さの出方は媒体によって評価が分かれているので、そこは実際に試したほうが早い部分です。
お茶側の選び方はドリンク系フレーバーの記事にまとめています。
ハーブ系と、変わり種
上の3系譜のほかに、スパイスというよりはハーブそのものを立てたフレーバー群があります。バジル、タイム、セージ、レモングラス、ローズマリーなど。甘さがほとんどなく、青い香りで全体を引き締める役として使われます。
さらに端のほうには、ワサビ、チリソース、パプリカ、トマトソースといったフレーバーも実在します。キワモノに見える棚ですが、こうしたフレーバーが集まるのはこのカテゴリで、スパイス系がフレーバー開発の実験場になっているのが分かります。
葉の種類でも印象が変わる
スパイス系の登録フレーバーの内訳はブロンドリーフが157フレーバー、ダークリーフが56フレーバー、シガーリーフが16フレーバー、ノンニコチンが15フレーバーです。まずは軽い葉でスパイスの香りだけを確かめてから、重い葉のフレーバーに進む、という順番も取れます。
葉の種類ごとの違いはリーフタイプ比較にまとめています。
次の一歩
この記事は役に立ちましたか?
KEMURI NOTE は20歳以上の方を対象としたサービスです。喫煙は健康に影響します。掲載している味の傾向は利用者のレビューとAIによる推定値をもとにした目安で、感じ方には個人差があります。
